土とともに ‐食の未来は土とともにある‐

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ワタミがオーガニックを目指した理由

安心して食事を
楽しんでいただきたい、
 その思いが始まりでした。

ワタミは、2002年から有機農業に取り組み始めています。
これまでも、これからも本気で向き合い続ける理由やオーガニックにかける思いについて
創業者の渡邉美樹がお伝えします。
(2020年3月講和)

命を循環させる環境づくり
だから、有機農業に取り組むのです

あのやわらかさ、あのしっとり感。はじめて有機の土に触れたときの感触は今でも覚えています。多くの微生物が共生し、耕すことで生まれる豊かな土壌。土も生きている。その圃場の上だけをちょうちょが飛び交っているあの光景。「なるほど。有機農業は命を循環させ、環境を守る非常に大事な仕事なんだ」と改めて認識させられた瞬間でした。
安心できる食の提供だけでなく、人を育てる環境づくりとしても有機農業は取り組まなければいけないこと。未来の子どもたちに地球の豊かな自然環境を残していくためにも、納税・雇用と同様に企業が行わなければならない役割だと感じました。だから、ワタミは有機農業に取り組んでいるのです。

ワタミ代表取締役会長兼グループCEO 渡邉美樹

ワタミ株式会社代表取締役会長兼社長 渡邉美樹
ワタミグループ創業者。「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念のもと、外食・宅食・農業・環境等の事業を展開し、「独自の6次産業モデル」を構築。

「なぜ野菜を洗うのか」、
ふとした疑問が始まりでした

そもそも私が有機農業に取り組むきっかけとなったのは、1984年、1号店を立ち上げた時のことです。

店長としてまず行っていたのが野菜を洗うこと。
毎日毎日、マニュアルどおりに野菜を洗っていたのですが、ふと「なんでこんなに野菜を洗わないといけないのだろう」と思いました。
あまり料理をしたことのない当時の私には、料理をする人なら当然知っている「農薬がかかっているから、洗う」ということも知らなかったのです。

レモンサワー

当時つぼ八で大ヒット中だったレモンサワーは レモンを絞ったあと、中に浮かべて飲むのが主流。 海外産のレモンには皮に薬が塗られているため 「一生懸命」洗っていました。

実際に農場を見学すると、宇宙服のような防護服を着て、農薬をばんばんまいている。「これは、いけない」と感じました。

安全な食材を仕入れたい。そう思うようになり、いきついたのがJAS有機でした。
ところが、JAS有機の食材は価格が高く、仕入れも不安定。
つまり、居酒屋の定番メニューにはならないんですね。ならば、契約農場ではどうか。
JAS有機の基準をクリアするだけの手間が増えるから、契約費もどんどん膨らむ。
こちらも断念せざるをえませんでした。買うのもだめ。農家の方々にもお願いできない。
……となると残る方法はひとつ。「自分たちで作るしかない!」と有機農業を始めたのです。

当時、法人が農業を行う土台はまったく整っていませんでした。当然条件のよい農地を借りることも難しく、特区として耕作放棄地となった畑を借りるところからスタートです。

耕作放棄されて時間のたった農地は、土地が枯れているため、文字通り耕すことから始まります。何度も土を耕し有機物を入れ、少しずつ土を蘇らせていく。
そんな地道な活動を続け、ようやく野菜の栽培ができるようになるのです。

また、外食店舗で提供するためのレタスを栽培していたときのこと。
もうじき収穫というところで、台風がやってきました。畑は塩害で全滅。そうした災害に見舞われても、お客様に安全安心な食材を届けたい、日本中に有機農業を広めたいという思いを胸に、あきらめずに土と作物と、向き合い続けました。

ワタミの活動や思いを理解いただく方の協力で各地で農地をご提案いただいたり、思いを受け継ぐ形で農地を譲り受けたり。今では、全国に9つの有機畑作の農場を、2つの放牧酪農の農場をもつ、日本最大級の農業法人となりました。

それでも、自社で提供する食品のすべてを賄うことはできていませんし、企業農業としてのモデルを実現できているともいえません。いまだ日本の有機農業の生産量も微増どまり。日本にオーガニックを広げる活動は、これからがさらに重要となると考えています。

ワタミオーガニックは
将来あるべき姿の縮図です

環境循環型の構造

1次産業である有機農業から、2次産業の加工、そして3次産業のサービス・物販・外食があり、それを支えるエネルギー、そして環境循環型の構造になっています。

さらに、SDGsの考えから、誰一人取り残しのないよう、農福連携をすすめ、障がいをもつ方が働ける環境をつくっていく。

ワタミがこれまで提唱してきた6次産業モデル(ワタミモデル)を、
21世紀の経営モデルとするべく決意を新たに“ワタミオーガニック”のブランドを立ち上げました。

岩手県陸前高田市で来年3月にオープン予定のオーガニックランドではこの6次産業モデルの縮図を実現していく予定です。

ワタミオーガニックランドの構想図

復興支援としても注目を集める
ワタミオーガニックランドの構想図。

とはいえ、すぐにはできません。土壌も含め環境の整備にはしっかり時間をかけなければなりませんから、あるべき姿にたどりつくには20年はかかると思っています。
単なる農業テーマパークとしてではなく、未来の日本を支えるビジネスモデルの縮図として展開していく予定です。


高温多湿で温暖な気候の日本では有機農業は難しいといわれています。
そこで、大学の研究機関と連携を行い、資源の地域循環を踏まえた栽培方法のモデル開発にも着手をしています。
環境に配慮した持続可能な生産方法、体を健康にする安全安心な食材が当たり前のように人々に届く。
そんな世界を目指してワタミオーガニックは日々、活動しています。